テイクバックで動きが固くなるイップス(仙台市在住20代男性野球選手)
ピッチャーをしています。
一年ほど前から、テイクバックの時に腕全体が固まってしまい思うように投球が出来なくなってしまいました。
イップスが始まる前は140キロで送球出来ていましたが、イップスになってからは130キロ程度まで速度が落ちてしまいました。
ネットスローでは思った通りに送球出来るのですが、相手がいるとイップスが生じてしまいます。
投げ方のフォームを変えてみましたが、以前のような早い球が投げられずにいます。
【カイロプラクティック検査】
来院時に、投球フォームを見せて頂きましたが、動き自体はスムーズで、問題があるようには見えませんでした。
ですが、実際に相手に向かって投げるとなると動きが固まるそうです。
普段の練習内容やどのような状況でイップスが生じるのかをヒヤリングさせて頂き、精神的な問題がないことが分かりました。
精神的な原因がないので、可能性のある原因は「脳機能の問題」か「筋機能の問題」です。
腕、肩、首、背中の筋肉を一つ一つ丁寧に調べたところ・・・
・小円筋(しょうえんきん)の筋力低下
・烏口腕筋(うこうわんきん)の筋力低下
・手の指の屈筋群の筋力低下
・小胸筋(しょうきょうきん)の短縮
・大胸筋(だいきょうきん)の一部に短縮
これらの問題が見つかりました。
これらの問題をお伝えしたところ、「イップスが生じる直前まで上半身のウェイトトレーニグを沢山やっていました」とおっしゃっておりました。
過度なウェイトトレーニングにより、筋肉の過緊張、過度な疲労が起こり、筋肉が十分回復する時間がなく、練習を続けたため、筋力低下や短縮が生じたようです。
【カイロプラクティック ケア】
筋力低下と筋短縮を改善させる施術をメインに行いました。
その他には、背骨や骨盤の可動制限の改善、股関節や腰の筋肉の筋力を強化する施術を行いました。
【イップスの治療の経過】
一週間おきに施術を行っていきました。
初回の施術後は、筋力低下を起こしていた筋肉の機能が回復しました。
2回目の施術後から投球の速度が少しづつ回復し始めました。
その後、施術回数を重ねるごとに上半身と下半身の安定感が増し、投球速度も上がっていきました。
10回目の施術後は、健康だったころの投球動作まで回復し、140キロ台の送球が出来るようになりました。
この段階でイップスを完全に克服出来たと判断しました。
【カイロプラクターのコメント】
イップスを発症すると、治すまでに過酷で長い道のりがあると言われています。ですが、当院では、施術をすればするほどに回復していく方が全体の9割です。
イップスはメンタルだけの問題ではありません。
今回のケースでは、過度なウェイトトレーニングにより、筋肉が上手く働けない状態となってしまい、脳からの命令に対して、筋肉が適切に応答できなくなっていた為、イップスを発症していました。
メンタルと脳機能は正常ですが、筋肉のコンディションが悪いために、筋肉が上手く働けずにいたので、上手く働けるように筋肉の細かなケアを行いました。
今回のケースのように筋肉に原因があり、イップスとなってしまう場合もあります。
これは稀なケースではなく、スポーツ選手であれば誰にでも起こりうる問題です。